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- ファッション
- 2022.12.24
- ランジェリーデザインコース卒業生 戸叶 恵美さんアンダーウェアブランド「Anknot &ies(アンノットアンディーズ)」を始動
2021年9月にバンタンデザイン研究所 キャリアカレッジランジェリーデザインコースをご卒業された卒業生 戸叶 恵美(とがのう めぐみ)さんがアンダーウェアブランド「Anknot &ies」を立ち上げられたということで、ご入学からブランド立ち上げまでのロングインタビューをお届けします。
▲Anknot &iesを代表する商品Tie-Dyeニュアンスブラ&ソングと戸叶さん
──戸叶さんのご経歴を教えてください
「ブランドを立ち上げる前は、8年間ほどIT業界で働いていました。私自身、大学生の頃はやりたいことが分からず、様々な業種を受けたのですが、いろいろな業界に貢献でき、かつ業界的にも今後仕事がなくなることはないだろうということから新卒ではエンジニアとして就職しました。その後、転職をしながらキャリアアップをしていきましたが、30歳手前で、このまま頑張っていった先に自分が本当に求めている未来があるのだろうか?そもそも自分が何を手に入れたいのだろう?と、よく分からなくなってしまったのです。そういった迷いもあり以前から海外に住んでみたいという気持ちがあったので、年齢的に最後のチャンスだと思い、仕事を辞めて、ワーキングホリデーでカナダのバンクーバーに渡りました。そこで様々な価値観を知る中で、今まで感じていた“こうしなきゃいけない”といった凝り固まった考え方から解放され、もっとシンプルで良いのだなと思いました。私自身がずっと迷い、模索してきた“自分らしさ”や、女性としての生き方やライフスタイルについて、新たな価値観をランジェリーを通して発信していきたいと思い、ブランド立ち上げを決意しました。」
──そういった経緯があったのですね!バンタンへご入学を決められたきっかけは?
「2020年の初旬、カナダのバンクーバーにいた頃にnoteというブログSNSで、ランジェリーブランドをつくる!と決意表明を投稿しました。最初は、独自でデザイン画を描き、仕様書を作り、中国のOEM(外注生産)の工場を探して英語でやり取りしながらサンプルを作ってみたのです。しかし全く上手くいかず、思い通りの商品ができませんでした。やはりちゃんと学んで良い製品を作っていきたいと思い、帰国後すぐランジェリーについて学べる学校を探していたところ、タイミング良くバンタンの説明会があり、足を運んだことがきっかけです。他の学校も探しましたが、ファッション専門学校の中で少しだけランジェリーを学ぶ学校や、ワイヤーブラではなくいわゆるブラレットのような簡単なパターンを学ぶ学校などでした。バンタンのようにランジェリーに特化して体系的に学べる学校は他になかったのと、絶対にランジェリーブランドを作るという思いが強かったので、不安や迷いはなく説明会で実際に話しを伺い、入学を決めました。」
*ブラレット…自然なバストラインを作るノンワイヤータイプのブラジャー
▲在学中に描いたデザイン画
──実際にバンタンに入学されていかがでしたか?
「一番良かったのは、クラス制で授業を行っていくので同じ志を持った人たちと1年間共に学べる環境でした。今まで自分の周りにランジェリーが好きな人や、作りたい人がいなかったので、そういった思いを共感できる人たちの人脈が作れた喜びは大きかったです。わからないことは、お互いに励まし合いながらクラスメイトと連絡を取ってサポートし合ったりできる関係を構築できました。社会人の方が多いコースだったのでいろいろなキャリアを持った方も多かったですし、現役で活躍されているプロ講師の方に毎回教わることができたのも良かったです。あと、入学前まで自分が作りたいブランドやデザインは実は他の人も考えているのではないか?と内心思っていたのですが、実際に入学してみて、一人ひとり全く違ったブランドビジョンを持っていて、いろいろな価値観やアイディアを知れたことや、自身の目指していきたいことを確立できたことは良かったですね。」
──プロ講師との印象的なエピソードはありますか?
「当時、サンプル製作等でお世話になったコスチュームデザイナーの山口講師に『作るものと本人に一番ギャップがある。その個性を大事にしていってほしい。』と言われたことがとても印象に残っています。私自身、今まで「ちゃんと」してみられたり、真面目なイメージを持たれたりすることが多く、そのイメージからはおそらく意外な感性を持っていること、そしてその感性をブランドで表現したところを汲み取ってくださり、また大事にしていってほしいと言われたことは自信に繋がりました。」
──卒業後もクラスメイトや講師の方との交流はありますか?
「工場で商品のサンプルを製作した際に、クラスメイトに声をかけフィッティングに協力していただきました。ランジェリー製作において、フィッティングはとても重要なので協力していただける方がいたことはとても有り難かったです。また、一緒に学んできた人たちなので、フィッティング後の意見や感想も的確なものがあり非常に助けられました。
ブランド立ち上げの際には講師の方にも連絡をして、応援メッセージを頂きました。」
─Anknot &iesのブランドのコンセプトを教えてください
「ブランドのコンセプトとして、『わたしを解放するアンダーウェア』、英語では“Color My Day.“を掲げています。先ほどお話しした、私がブランドを立ち上げた思いに直結している部分になりますが、「可愛らしさ」や「繊細さ」など、「女性はこうでなければいけない」という固定観念のようなものがあると思っていて。そこを打破するように新しい価値観を提供したい、一人ひとりの女性がもっと自由に自分を表現したり、自分自身を解放していってほしい、という思いが私がブランドをやる原点になっています。
ブランドコンセプトを体現する商品として、今回のコレクションはレースやリボンといった装飾を一切使用せず、カラフルなムラ染め生地を使用して、一つひとつ表情の異なる商品を作りました。バンクーバーで私自身が見たカラフルな日常、多国籍な人びとが暮らす街、そこで私自身が感じたさまざまな感情がインスピレーションになっています。そこには、日本で求められがちな「かわいらしさ」とは少し異なる、心身ともにヘルシーな、アクティブでたくましい女性たちの美しさも表現しました。
私自身がそうだったのですが、いつも他人の目を気にして、自分らしさが分からなくなってしまったり、本当の気持ちや感情を封じ込めてしまう人、どこか日本で生きづらさを感じている女性たちに向けて、もっと自由に自分を解放していってほしい、という思いが込められています。」
─多様性が求められる現代にとてもマッチしたブランドですよね。卒業後、わずか一年でこれだけ素敵なブランドを始めるにあたり準備期間はどれくらいでしたか?また、どのようなことを準備されてきましたか?
「ブランド立ち上げを決めてから実際に立ち上げるまでは、2年半ぐらいです。事業計画を立てたり、実際に作っていただける工場を探しました。条件に合う工場を探すのも大変でしたが、資金面をどうするのか、数年先までを見据えて実際にどのようにやっていくのか、とにかくずっと考え続けていました。
ブランドリリースと同時にクラウドファンディングプロジェクトをおこない、様々な方のご支援により、ブランドとしてようやく一歩目を踏み出すことができました。」
──クラウドファンディングプロジェクトでは116%の達成と素晴らしい実績を残されていましたが、なにか工夫したポイントがあったのですか?
「実は、クラウドファンディングプロジェクトにはすごく苦戦をしました。十分な広告予算もなければ、下着というオンラインで購入するハードルの高い製品、かつ認知度もほぼゼロの状態でのスタートで。友人や知人へ支援をお願いしたりしましたが、プロジェクト終了5日前の時点では目標金額に対して僅か35%の達成率でした。途中、挫けそうにもなりましたが、ラスト3日間で奇跡が起き、最終的に116%達成することができました。そのきっかけとなったのが『stand.fm(スタンドエフエム)』という音声配信です。2020年から投稿していたnote以外に、stand.fmでの音声配信を今年の7月から行っていて、そこでもブランドについての思いなどを発信し続けていました。それを聞いてくださっている方が、思いに共感し応援したいと言ってくださったり、一緒にインスタライブをさせていただいたことで支援してくれる方が増え、最終的に達成することができました。自分自身の思いやブランドとして届けたいことを継続して発信し続けることが大事だと実感したプロジェクトになりました。」
──戸叶さんの思いが詰まった製品についてのこだわりをお聞かせください。
「今回のコレクションは、どの製品もTie-dye(ムラ染め)生地を使用しているため、1点1点色合いが異なり、すべて1点ものの商品です。オンラインショップでご購入いただいた際は、実際にどんな製品が届くかも楽しみにしていただけたらと思っています。
いちばんこだわったのは、やはり快適なつけ心地です。ブラは柔らかいワイヤーを使用することで、軽くて快適なつけ心地を実現しています。日本人に多い平胴さん体型にフィットしやすいゆるやかなカーブで、脇までしっかりホールドします。分厚いパッドで不自然な寄せ上げをせずに、適度な厚みのカップがバストにフィットする作りになっていて、実際に試着をしていただいたところ、そのフィット感に感激いたただけることも多いです。
また、手元に届いた時の体験自体も楽しんでもらいたく、製品を入れるパッケージもカラフルなランジェリーが敢えて見えるようなクリアなデザインにこだわってつくりました。巾着タイプの使いやすい袋なので、スポーツジムにいく際や旅行の際などに、洋服や靴を入れたりして再利用していただけたらと思います。」
▲1点1点色合いが異なり、全く同じもののない1点もののTie-Dyeニュアンスブラ&ソングとパッケージ・ステッカー
▲3色展開のTie-Dyeニュアンスブラ&ソングシリーズ中でも一番一点ずつの表情が変わるRainbowカラー
▲肌に触れるストラップの内側は、柔らかな素材を使用するなど細やかなこだわりがつまったTie-Dyeニュアンスブラ
「ブラトップは、メッシュの染め生地の透け感を生かしつつ、一枚でも着られるような仕様にこだわっています。サンプルを作る中で試行錯誤し、裏地に黒いメッシュ素材を重ねることでカップの透けを防止しました。また、直接胸に触れるカップ周りの裏地にはバンブーレーヨンを使用し、気持ち良い肌触りにしています。ストラップ部分の色にもこだわっていて、それぞれの色に併せて、敢えて少しくすみがかったストラップの色にすることにより肌なじみを良くしています。」
*バンブーレーヨン:竹が原料となった自然素材
▲インナーだけではなく、スポーツシーンにも活用できるクロップド丈のブラトップ
▲裏地のバンブーレーヨンについて説明してくださった戸叶さん
▲カップ部分の透け防止の為に、黒いメッシュ素材を裏地に使用
──最後にご入学を検討されている方へメッセージをお願いします。
「ブランドを作りたいといった思いを持っている方にとって、バンタンに行くことは、目標を達成するための“近道”だと思います。一年間という期間で知識を体系的に学べるので、ランジェリーのデザイン(構造設計)にこだわって製品づくりをしたい方には、この一年の学びはとても実になるものだと思います。
また、これから学ぶ方にいちばん大事していただきたいことは“なぜブランドを作りたいのか”を明確化することです。今の時代、本気でやろうと思えばブランドを作ること自体は誰でもできると思います。だからこそ、なんで自分がそれをやるのか?その思いをしっかりと固めて、信念をぶらさずに継続していくことが何より大事だというのは、私自身がまさに今感じていることです。自身が作りたいブランドとその思いを、バンタンでの1年間の学びの中で講師の方やクラスメイトと共有し、より深めていく時間にして頂けたらと思います。
自分一人でやっていると、なかなか気づけない部分もありますが、こういったランジェリー業界で現役で活躍している講師やクラスメイトがいて、直接意見を交わせる環境だからこそ得られる学びや気づきがあると思います。是非、その環境を活かして自身の考えを深め、目標を叶えて頂きたいです。」
ブランドはもちろんのことながら、戸叶さん自身の生き方・考え方にとても感銘を受けた
インタビューとなりました!!いろんな価値観があって良い。自分自身の一回きりの人生、後悔のない自分らしい生き方に背中を押してくれるようなブランドコンセプト。これからもたくさんの女性に勇気を与え愛されるアンダーウェアブランドになっていただきたいです。今後のご活躍も楽しみですね。
【PROFILE】
戸叶 恵美(とがのう めぐみ)
大学卒業後、IT業界にて約8年のキャリアを経た後、カナダ・バンクーバーへ渡る。カナダ滞在中にブランド立ち上げを志す。2020年9月日本に帰国後、バンタンデザイン研究所 キャリアカレッジランジェリーデザインコースに入学。卒業後、わずか1年で自身のアンダーウェアブランド“ Anknot &ies(アンノットアンディーズ)を立ち上げた。
公式HP
https://www.instagram.com/anknot_undies/
https://mobile.twitter.com/anknot_undies
クラウドファンディングプロジェクト
https://kibidango.com/project/2214
バンタンデザイン研究所 キャリアカレッジ ランジェリーデザインコースでは戸叶さんのように社会人になってから仕事をしながら、キャリアチャンジをされる方・ブランドデビューを目標とする方向けのカリキュラムを用意しております。未経験でもできるのかな?など不安な方!少しでもご興味がある方や、ブランドを立ち上げたいけど何から始めれば良いかわからない、そんな方向けにまずはお気軽にご相談いただける情報収集型のガイダンスをご用意しております。
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