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  • ヘアメイク
2021.12.21
日本屈指のへアメイクアップアーティスト・Eita 講師をお招きして特別講演会開催!パリ コレクションバックステージからセレブリのメイクまで、18 の質問!

ヘアメイクアップアーティストEita講師をお招きして、入学希望者&在校生に向けて特別講演会が行われました!

まずは、Eitaさんのプロフィールをご紹介します。1990年単身フランスに渡り、1995年に独立。20年以上にわたりパリコレクションにて、CHANELDIORYes Saint Laurentなど一流メゾンでご活躍。セレブリティも数多く担当し、女優カトリーヌ・ドヌーヴ、テイラー・スウィフト、セレーナ・ゴメスなど……オスカー女優に最も多く触れている日本屈指のヘアメイクアップアーティストとして知られています。

 

───今日は、よろしくお願いします。そもそも、なぜ、ヘアメイクを志したのですか?

 

 

 「母が日本舞踊家元なので、踊りなどキレイなものに触れる環境で育ちました。本来は舞台に立つ側の人間でしたが、裏方の仕事に興味があったんです。白塗りのメイク、髪を結う床山さんや、衣装の着付けのお仕事は、一日中見ていても飽きないほど好きでした」

 

───業界に入るキッカケは?
10歳のとき、テレビでパリコレクションのバックステージの仕事を見て衝撃を受けました。スーパーモデルのメイクをしたいと思い、美容学校卒業後、すぐにパリに渡りました。人よりも、早くやりたいことが見つかり進むことができたことはラッキーだったと思います」

 

 

───親御さんの反応は?

「お金もかかりましたが、ウチは親が応援してくれました。大学に4年間通わなかった分、経済的に安定した状態でスタートを切れたのも恵まれていると思います」

<プレタポルテ、オートクチュール、メンズコレクションのバックステージに育てられた>

 

───フランスに渡ったとき、フランス語は?

 

 

0ですよ、0!ポートフォリオも、34枚しか作品がありませんでした。たまたま、ロレアルの紹介で、ロマン・ソランというヘアドレッサーを訪ねてごらんなさいと言われ、彼のサロンに電話して、アシスタントになりたいと慣れないフランス語と英語で伝えたんです。すると、『ビザを取りなさい。その条件をクリアしたら手伝いに来ていいよ』と言われ、学生ビザを取得しました。10月のコレクションからアシスタントに入りましたね。バックステージはヘアとメイクで分かれていて、僕はヘアチーム。師匠は約20のバックステージを担当していて、朝9時から夜9時まで働きました。帰ったら深夜1時、2時です。ショーの4時間前に来て、と言われるので朝8時スタートなら4時入りでした。年に2回ファッションウィークがあり、プレタポルテ・コレクション、当時はオートクチュール・コレクションがあり、その間にメンズコレクションと、年6回コレクションを経験できました。本当の意味で学校でしたね」

 

 

最初は、床に落ちたピン拾いから始まり、モデルさんには一切触らせてもらえなかったというEita講師。少しずつ実力が認められ、ひとつのテーブルを持ちモデルを担当するように。次に、チームの一員ではなく、チーフになりたいという目標を設定し、step by stepで、実現させていったそう。

「ロマン・ソラン氏の後、美容家協会(ICD)の世界会長を務めるモーリス・フランク氏のアシスタントとなりました。モデル6名などを一手に任されるようになり、ブランドからも指名されるようになったんです。当時、日本の美容室で働く人がバックステージに参加する有料ツアーもありました。任されるのはピン拾いですが、それでもパリコレを体験できます。僕は、フランス人と肩を並べて同じギャラをもらって仕事をしたいという気持ちが強かったので、事務所を探しアーティストとして所属するように。通算2627年、パリでお仕事をしてきましたので、自分はパリに育ててもらったと思います」

 

───バックステージで、特に印象的だったのは?

「あるとき、リンダ・エヴァンジェリスタのヘアを担当したんです。スーパーモデルたちは、コレクションシーズに合わせて世界中を飛び回る、渡り鳥みたいな生活をしているから、顔なじみになると家族みたいになっちゃうんです。別のアーティストが直しに入ろうとしたときに、「私に触れるのはEitaだけ!」と言われたときは嬉しかったです。あとは、冨永愛ちゃん。アジア人の顔って難しいって思われていて、フランス人ヘアメイクがメイクするとクレオパトラみたいなメイクにされちゃうんです。信頼関係が生まれると、他のショーで会ったときも『メイク、Eitaさんにお願いします』と言ってくれて。そういう風にして指名が増えるようになりました」

 

 

───Eitaさんは、ヘア?メイク?どちらで活動をされたのでしょうか。

「フランスの事務所に入るときも聞かれましたが、どっちもしたかったのでクライアントが選べばいいんじゃないの?というスタンスでした。雑誌の撮影でも分かれています。気の合う場合はいいですが、そうでないと衝突して喧嘩になる場合もあるので……。特に海外ロケでは、飛行機代が一人分で済むので重宝されましたね」

 

───バックステージで印象に残っているのは?

「もうね、戦争ですよ。ジョン・ガリアーノの派手なメイクをしたモデルさんが、『エマニュエル・ウンガロ』のステージが始まる2分前に現れたことがありました。ミッションはナチュラルメイクにして歩かせること。モデルさんご自身に、ベースをキープでアイメイクだけ落としてもらって、ゼロからやる暇はないからアイメイクだけを数秒で整えて、ナチュラルに。ステージに上がるまで、ほんの数分の出来事でした。自分が何のために呼ばれていて、何をすべきか、瞬時の判断が求められます。また、イブ・サンローランや、エマニエル・ウンガロなどと直接仕事ができたのはラッキーです。ランウェイの直前、デザイナー本人が最終チェックをし、着せ付けに味付けをする様子を見ることもできました。行かなかったら見られないので、本当に良かったです」と振り返ります。

<『プラダを着た悪魔』でも知られるアナ・ウィンターのメイクを担当>

「アメリカ版『ヴォーグ』編集長のアナ・ウィンターがパリに来たとき、毎朝彼女の滞在ホテルのお部屋に伺ってメイクをしました。彼女がサングラスをかけていないときは、ほぼ僕がメイクしています。早朝に呼ばれて15分でフルメイク。同時にヘアさんもつきます。アナのメイクを3年半、毎シーズン担当させてもらえたのは光栄ですが修行でした(笑)。
でも、テクニックも進化したと思います」

 

 

───他にはどのようなお仕事が印象に残っていますか?

「ウンガロのお仕事ですね。広告のビジュアルでメイクしたんです。そのときに、PRの女性とマダムウンガロがいたんです。僕のメイクを見て、気に入ってくださり全シーズン任されました。マダムウンガロには、ロダン美術館横にある庭付きの邸宅に招かれ、メイクをさせていただいたことも。扉がバンと開いて、シルクのローブとバラの香りをまとったマダムが出迎えてくれて、「あなたのマジックで、私を目覚めさせて!」と言われたのは、とても印象に残っています。すべてがチャンスと出会いですね」

 

───ヘアメイクの現場で、大切にしていることは?

「時間には、絶対遅れないこと。朝の集合時間も、何時までに仕上げるというのもそう。あとは、女優さんのお顔は2億円などの契約が結ばれているものなので、絶対に傷つけたりしないこと。絶対です。道具は清潔に保って、自分の身なりも清潔に。直接、肌に触れるので不快な想いをさせないこと」

 

───学生が今のうちにやっておくべきことは?

「いちばん大事なのは基礎です。どんなにモードな仕事をしようが学校で習った技術を組み合わせて進化させています。キレイにブローできますか?髪を巻けますか?実は、学校でやっていることがいちばん大切です」

 

 

───広告、ファッション誌、それぞれの仕事で違うことは?

「広告は、女優さんなら『みんなが知っている彼女の顔(イメージ)』じゃないと意味がありません。女優さんの顔(イメージ)の範疇でクリエイションすること。ファッション誌なら、格好よく見えればいい。モデルさんの個性は置いておいてもファッショナブルに見えればいい。そこが広告とファッションページの大きな違いです」

 

───お仕事をしていて楽しいのは?

「撮影で、シャッターを切ったときに、スクリーンで見て『ハマった』と分かり、チームに一体感が生まれるとき。同じ方向をみて、高みを切り取ると魂が震えます。撮影が終わって、メイクを落とさずこのまま帰りたい、とモデルさんに言われるのも嬉しいです」

 

 

───コミュニケーションを取るうえで、重要視することは?

「言葉が大事ですよね。日本で仕事をするにも、英語はできたほうが便利ですよ。先日、東京国際映画祭が開催されましたが審査員長でイザベル・ユペールという女優さんが来て指名してくれました。通訳さんが伝えるフランス語と、彼女の気持ちを慮って投げてあげるフランス語とでは違います。例えば、ライティングを組み替えている最中で、女優さんが待たされているとき『今はこういう状況だから、お喋りしていましょう』と声をかけてあげられます。モデルさんや俳優さんの気分をサポートしてあげることもすごく大切だと思います」

 

 

───アシスタントに求めることは?

「時間に正確、嘘をつかないこと。師匠の現場であっても自分の現場だと思い、準備しなさいと伝えています。自分ならどうしたいか、どう仕事を回すのか、考えて」

 

───尊敬している人は?

「学生だった頃、素敵と思う作品は野村真一さんが手掛けていることが多かったです。他にも、セルジュ・ルタンス氏、チボー・ヴァーブル氏も尊敬します」

 

───今後の目標は?

「商品開発と、Eitaじゃなきゃできない仕事を増やしたいですね。あとは、メンズ作品の作品撮りも精力的に進めています。近々、オリンピック金メダリストともご一緒する予定です」

後半では、メイクアップデモンストレーションを実施!

 

 

「ベースメイクはものすごく大切で、いちばんトレンドが表れます。ベースメイクが上手くいけば70%終了です。今は、薄いヴェールをかけたようなセミマットが気分ですね」

 

 

 

 

 

モデルさんのお顔を見せられないのが残念ですが、ダークブラウンのアイライン、深い紫のグラデーションアイを提案しました。また、即興で、アイブロウを消しアイメイクを大胆に広げ、ヘアもダウンスタイルにアレンジ。表現に無限の可能性があることを伝えます。

 

 

───ご自身がヘアメイクアップアーティストで良かったと思うことは?

「世界中どこへでも行けて、美しい絶景を見ることができます。カリブ海、バハマ、モンブランの山頂でスキーウェアの撮影をしたこともありました。あるイタリア人建築家に『好きなことで仕事ができるのは、神様の最高のギフトだよ』と言われましたが、本当にその通りだと思います」

 

 

───Eita講師にとって、ヘアメイクとは?

「自分自身です。唯一好きであり続けるもので飽きないし、もっと上手くなりたいです」と笑います。

 

 

Eita講師のキャリア、お仕事に対する向き合い方から、一流クリエイターとしての心構えや姿勢を学べたはず。業界を志す人にとって、示唆に富んだメッセージでしたね!

 

 

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