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2022.07.26
「無駄づくり」のプロ。コンテンツクリエイター・藤原麻里菜講師が語る、クリエイティビティの生みだし方とは?

「私は無駄づくりというのを、やっているんですけれども……」

と挨拶するのは、コンテンツクリエイター、文筆家、株式会社無駄 代表取締役社長として活躍する藤原麻里菜講師。

 

 

今回は、オンライン&オフラインで行われた特別講義をレポートします。

PROFILE1993年生まれ。頭の中に浮かんだ不必要な物を何とか作り上げる「無駄づくり」を主な活動とし、2013年からYouTubeチャンネル「無駄づくり」を開始。

現在に至るまで200個以上の不必要なものを作っています。

 

 

WORKS>具体的には、ネット接続が悪いフリをしてオンラインミーティングを離脱できる「ヨミコミュ/オンライン飲み会脱出マシーン」(4180円・税込・現在完売)、パンチすると自動で謝罪メール文が表示される「謝罪メールパンチングマシーン」、口角を上げて笑顔になれる「強制的に笑顔になるマシーン」など……くすりと笑ってしまうような、ユニークな無駄を生み出してきました。

藤原講師「Forbes Japanが選ぶ『世界を変える30歳未満の30人』2021年に選出され、社会に少しずつ影響を与え、認めてもらっている状態です。

さて、私たち人類は無いものを想像し、手を動かして作ることができるからこそ発展できています。

例えば、バンタンデザイン研究所は、本当はないんです。でも、皆さんがあるって信じているから、あるんです。

少し哲学的になりますが、日本という国はなく、島に住んでいる人たちが『私たちは日本国民だ』って思っているから、団結することができるんです。そうした認知は、他の動物にはできないことです」

 

アルベルト・アインシュタインの「想像力は知識よりも重要だ。なぜなら、知識は今わたしたちが知り、理解していることに限られるが、想像力は世界のすべてを包括し、わたしたちがこれから知ること、理解することまで含むからだ」という言葉を引用。

 

 

 藤原講師「空想とか想像は、何によって生まれるかというと、余った時間余剰によって生まれます。

私たちがクリエイティブなことを考えるためには、余った時間が必要なのではないかと考えています」と強調します。

「たくさんの発明によって私たちの生活には余白があるはず……なのに、なんか忙しくないですか?それは私たちが無駄を否定しているからではないか?と思いました。

無駄を肯定して、あえて無駄なことをすることで、新しい価値が生まれるかもしれないと考えました」

エイブラハム・フレクスナーの「有用性という言葉を捨てて人間の精神を解放せよ」や松下幸之助氏の「この世の中に存在するものは、一つとしてムダなものはない(以下、略)」

といった言葉が無駄づくりのヒントになったと明かし、「『これって役に立つのかな?』とか、『価値が生まれるのかな?』ばかりを考えて、何かをしないという選択を取ってしまいがちです。

なので、無駄を削るではなく『作る』をテーマにしています。無駄を作ることで新しい発見がありますし、今まで感じなかったものにも価値を感じます。

例えば、道端に落ちているなんの変哲もない石に価値を感じるかどうか。

価値がない、と蹴飛ばすことは誰にでもできますが、無価値だと決めつけないで、前向きにとらえることで新しい価値を生み出すことができますし、自分自身の面白みにも繋がるのではないかと考えています」

 

 

□無駄なことをあえてすると価値が生まれる

「最近、『30までに別にしなくてもいい余計なことToDoリスト』として、メルカリで知らない子どもが書いた絵を買うという無駄なタスクを完了させました。

部屋に飾ると、不思議とあたたかみが出て、しっくりきました。体験としても楽しかったですし、無駄なことをすることで、価値が生まれ、発見にも繋がるのではないかと思います」

1>無駄なものを作るときの6つのポイント

①  役に立つものも立たないものも、何でも作っていい

藤原講師「役に立つものをつくったら、それはそれで天才です。失敗のないものづくりなのが、無駄づくりのいいところです」

②  とりあえず手を動かそう

③  自分の技術のなさを楽しみながら作る

④  思い通りにならなくても焦らない

⑤  作ったものに役割を考えてみる

⑥  無駄なものを可愛がる

 

と、無駄づくり初心者さんのために秘訣を紹介。

 

 

2>無駄を確保する

「自分なりの『床の間』を確保しよう、と言っています。母は、床の間に季節の花や、ハロウィンシーズンにはカボチャのランタンを飾っていました。

そのスペースは、母の心を映しているようで好きでした。無駄を確保すると、余白や余裕を持って生活ができるようになると思います」

3>無駄なことをあえてする

「例えば第三土曜日に友だちとイベントに行くとか、やりたくない無駄なことを、あえてやってみてほしいです。ルーティンの中に無駄を入れるのはオススメです」

 

□アイデアの効力

1.生活・仕事のモチベーションになる

「来週、友だちとどこかに行くというのも一つのアイデアです。

アイデアのいいところは、自分自身に影響を与えることができるところで、生活や仕事のモチベーションになります」

2.自分の考えをまとめられる

「また、自分の思考パターンを客観視することで、そこから逃げることもできますし、考えもしなかったアイデアが生まれることもあります」

3.社会に対して影響を与えられる

「自分なりの考えを社会に対してリリースし、社会に対して影響を与えることもできます。

無駄は悪いことと考えられがちですが、誰かの価値観を『無駄もいいね』に変えられたときは、やっていて良かったと思える瞬間です」

 

 

□     IDEA-OUTPUT WORKSHOP

ここからは、言葉から考える「アイデアのアウトプット」を体験します。

まず、言葉と言葉を組み合わせて、無意味な言葉を作ります。次に、それに役割を想像して不可します。最後に、さらに想像力を膨らませてブラッシュアップします。

1.言葉と言葉を組み合わせて無意味な言葉を作ろう>

藤原講師「頭の中に浮かんだ言葉を、ふせんに書いていきましょう。そして、二つを組み合わせてみて」

5分ほど書き出して……居眠り看板、ペットボトルマニキュア、生理用品ジェットコースター、セーターホッチキスなどさまざまなアイデアが!

 

 

「いいですね~!ZOOMにも、たくさんコメントがきています。大仏扇風機、うちわ楊枝、靴下色鉛筆、寝てないよメガネ、可愛いですね~!何かにできそうな感じがあります」

2. 修飾語をくっつけて、変な言葉を作ってみよう>

「修飾語とは、どのくらい、どこから、何を、いつ、どんな、を表します。

例えば、インスタ映えしない、お金持ちな、子供用……等などです。修飾語を使って、変な言葉を作ってみてください。さっき思いついた単語は使っても、使わなくてもいいですよ」

ごきげんな時計、はにかみレストラン、苦いTシャツ、満腹スニーカー、誰にも見えない蚊取り線香など、変な言葉が続々誕生!

 

 

在校生のアイデアを見て……「『往復ピザ』は、ピザ屋さんのキャンペーンにありそう!『眠れるアイス』、あったらいいですね~!

皆さん、変な言葉を作るのプロフェッショナルって感じですね」と絶賛しました。

3.スルーしてきた感情や問題を思い出してアイデアを考えよう>

藤原講師「アイデアというのは、課題の解決でもあります。

シチュエーションを区切ると、問題に気付きやすいです。

例えば、夜のリビングルームで起きる問題を書き出してみて。そして、その解決方法を考えてみましょう」

 

 

メンバーからは……

暗くて机の角に小指をぶつける⇒ぶつけるところだけ削れている家具

寝室にいくまでが暗い⇒イルミネーションが照らしてくれる

外の声がうるさい⇒歌詞をつけて一曲作る

というアイデアが出ました!

 

 

藤原講師「いいですね~!次に、最初のアイデアを正解としないで、視点を変えてみましょう。

逆側から見たらどう?開き直って考えるとどうなる?問題をもっと複雑にするとどうなる?

独自のものを生み出していくことを意識していってほしいです」とアドバイス。

在校生たちは、頭の中のアイデアが解放されたように、どんどん書き出していきます。

他にも「なるべく低コストで、お金持ちになった気分になれる方法を考えてみよう」にもチャレンジしました。

藤原講師「言葉を書こうとすると、割とアイデアを考えやすくなるんですよね。

言葉を結びつけるワークは、皆さんが無意識のうちにやっていることです。

なので、無意識の状態を作って。何もしない時間こそが、クリエイティビティを生み出します。

ぜひ、皆さんも人生を動かすアイデアを考えていってください!」と締めくくりました。

質疑応答では……

――― 自分は、就活をしないといけない年齢です。藤原講師は、進路を決めるとき、「どうなりたい」など理想はありましたか?

 

 

「高校のときは、面白い人になりたいと思っていました。吉本興業に入ったらYouTube が、漠然と楽しいんじゃないかな?と思って2013年からチャンネルを始めました。

ガチガチのロールモデルでなくてもいいので、漠然と『ああいう感じの大人になりたい』みたいな人がいると生きやすいのではないかなと思います」

 

――― 最近のお気に入りの無駄は?

「滑り台ってすごく無駄だなと思っています。今となっては、なぜあんなに熱中していたのか?興味があります」

 

―― プライベートとお仕事を分けていますか?

「分けていないです。アトリエがあるので、家では作業はやらないです」

 

――― みんなが無駄づくりをすると、どんな世の中になると思いますか?

「良い社会になるのではないかと思っています。ものを作ることは、独り占めしたら勿体ないです。頭の中のアイデアが、形になるのはとても学びがあります」

 

 

無駄づくりの真髄にふれ、アイデアの発想法も学ぶことができて、とても発見の多い時間となりましたね!

 

 

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